圓照寺/神戸市北区/座禅会/おはか広場のコミュニティ情報てらぼ/神戸北編
おはか広場のコミュニティ情報『てらぼ ‐Telab- 』
地域のお寺さんのコミュニティ情報をお送りしています。
おはか広場の『てらぼ』は、地域のお寺情報として、お寺の楽しさや行事ごと、お寺さんコミュニティなど、宗旨や宗教の垣根を越えて発信し、私達の近くにあるお寺さんはどんなお寺なの?お寺って何をやってるところなの?といった素朴な疑問を、私達のいろいろな角度や目線でおもしろおかしくあるがままに表現してみよう!というそんな趣旨から不定期にお届けしている情報サイトです。どうぞ気軽にご拝読ください。まだまだ掲載量は少ないですが、これからどんどん情報数を発信して参ります。(協力・提供:提携寺院)
本日のてらぼは、
神戸北編
宗教法人 圓照寺さんです。
:取材・撮影・編集 おはか広場(仏事・お墓・ご供養相談窓口)
『近隣のお寺さんのコミュニティ、楽しさと笑顔で健康』
座禅会と言えば、京都の座禅が人気で、よくお寺や宿坊などで泊まり込みで行う、事前に申し込み、それなりの身なりと心構えを整え、精神統一のために訪れると言った座禅を、よく耳にされるかと思います。しかし、最近では、わざわざ遠くに行かなくても、みなさんの近隣で、座禅を行っているお寺がたくさんあることをご存じですか?
近隣で、仕事の行き帰りに活用したい、近くで心身ともにリフレッシュしたいなど、どんどん加速化するこのストレス社会に、日常とは少し違った空間で、何も考えない時間を過ごしたい、精神を休め心や身体を癒したいと考える人達が年々増えていると聞きます。
そんな中、みなさんのお近くで、日々通うことができる場所、禅の心が学べ、静かに心を解きほぐす場所、おまけにお茶やスイーツなども楽しめる場所があったらいいですよね!
今回、おはか広場スタッフが、お寺さんで行われる座禅会を取材して参りました。今回のテーマは、『近隣のお寺さんのコミュニティ、楽しさと笑顔で健康』です。神戸市北区八多町にございます宗教法人圓照寺さんにお邪魔してきました。
先日、宗教法人圓照寺にて『涅槃会ZAZEN法要』が開催されました。
今回は、毎年圓照寺にて行われる涅槃会法要に伴い、新たな行事『座禅会』イベントが同時開催され、なんと、今回参加者には、お寺でイタリア風精進料理が振る舞われるといった、他に類をみない魅力あふれるイベントでした。
この日は、朝から小粒の雨がパラパラと、降っては止み降っては止みの繰り返しで、お寺から見える風景もどんより、どことなく不安気な様子が漂っておりました。
このままだと、みなさんの足も遠のいてしまうのではないかと心配です。
圓照寺では初めての試みということで、ご住職さんはじめスタッフの方々の意気込みは相当なものでしたが、少し緊張されている様子でした。
しかし、とても楽しみにされているみなさんの笑顔を見ていると、こちらも何だかワクワクしてくるのがわかりました。
10時を少し過ぎた頃、ご住職さんとスタッフのみなさんの思いが通じたのでしょうか、開催時間が近づくにつれ、降っていた雨も次第に上がり、太陽の光が差し込むようになりました。
境内に咲く梅の花は、少し頬を赤らめ、まるで来場者のみなさまを笑顔でお出迎えしてくれているかの様です。
天候で、心配された来場者のみなさんの足は途絶えることなく、どんどんお寺にやって来てくれています(^^♪
会場では、座禅会の準備が行われており、
その光景を見ているだけで、私も少し興奮してきました。
ご住職さんやスタッフのみなさんは準備に慌ただしく、参加者のみなさまもどこか緊張気味です。
御詠歌の音色とともに お釈迦さまを偲んで・・・
いよいよ!圓照寺の涅槃会ZAZEN法要の開催です!!
涅槃絵では、ご住職さんのご挨拶とご法話があり、涅槃会のお話、お釈迦さまのお話をしていただきました。
大人も子供も、みんなご住職さんのお話に、熱心に耳を傾けておられました。
【涅槃会とは?】
2月15日は、お釈迦様がお亡くなりになった日にちで「涅槃会」といいます。
お悟りを開かれたお釈迦さまはその後、45年にもわたり、人びとに教えを説く旅を続けられました。その間、多くの人びとがお釈迦さまの教えに導かれ、お弟子や信者となっていきました。
その伝道の旅の最期の地となったのは、クシナガラという所でした。
いよいよ自分の死が近いことを察したお釈迦さまは、弟子たちにこう説かれました。
「私の亡きあとは、私ではなく自分自身をより所として、また私が伝えた教えを、闇を照らすともしびとして、歩んでゆきなさい」
お釈迦さまは個人崇拝の対象となることを否定され、弟子一人ひとりが確かに、自立して進むことを求めたのでした。
そして「もろもろの存在は変わりゆく。怠らず精進しなさい。」という最期の言葉を残し、静かに息をひきとったのでした。
お釈迦さまのご命日である涅槃会の日には、全国各地の寺院でお釈迦さまの最期の様子を描いた「涅槃図」をかけて、そのご遺徳をしのぶ法要が行われます。
(曹洞宗 曹洞禅ネット SOTOZEN-NET 公式ページ より)
法要は、梅花講のみなさまのご詠歌の歌声から始まりました。
その音色と歌声は、直ぐに、私達の心を静かに和らげ、まるでお釈迦さまのぬくもりに包まれた、とても優しいそんな空間にいるようでした。
【御詠歌とは?】
「鈴(れい)」と「鉦(しょう)」という2つの楽器(法具)を用い、仏の教えや仏を礼讃する思いを歌にした仏讃歌 (曹洞宗 曹洞禅ネット SOTOZEN-NET 公式ページ より)
その後、本堂内に響き渡る読経は、
汚れた身体がきれいに浄化されていくかのようで、
それは、いつもの葬儀の場や法事で聞く雰囲気とは違う、なんだかとても心地が良い落ち着きを感じました。
みなさんのお顔もどこか穏やかで、
特に
静かに、じっとお経本を見つめる女性の姿が、
とても優しくて印象的でした。
自分自身と向き合う座禅。そして、イタリア風精進料理。
今回、お寺のスタッフとして、
お寺の畑で、野菜を作ってくれている松下さんがお手伝いに来られていました。
スタッフの松下さんは、この日、お料理に使われる新鮮なお野菜を畑から採ってきてくれました。
今回のイベントに使う野菜は、お寺で採れたものを使いたいというご住職さんの思いに動かされてか、松下さんは、数年前から、忙しい合間を縫ってお寺の畑の土壌作りから始めたそうです。
最初の頃は、うまくいかず、毎日泥まみれになっていたそうです。そんな姿を見てか、松下さんの奥様が何も言わずに黙って手伝ってくれたり、友人の方たちも応援に駆けつけてくれたりと、美味しい野菜をお寺で作りたい、その思いだけで、みんなの心が一つになり、そして完成した特別なお野菜だそうです。
この日は、座禅会のデモストレーションスタッフとしても参加され、
座禅のやり方を、みなさんに笑顔たっぷりでお話ししてくれました。
法要のあと、ご住職の合図とともに始まった座禅会は、
一瞬にして本堂内が静寂につつまれ、
参加者のみなさんも、静かに無の境地に入っていきました。
今回の座禅会には、子供さんから大人まで、老若男女たくさんの方々が参加されました。
そもそも座禅とは、仏教にまつわる行いで、姿勢を正し座った状態で精神統一を行う、禅の修行法のことを言います。座禅会は、特に曹洞宗のお寺などでよく開かれています。
座禅ではいろいろな作法があり、此処圓照寺でも、禅の教えに従った正しい作法があるようです。初めての方でも、ご住職さんが丁寧に教えてくれるので安心してご参加いただけます。
また、座禅の最中には、邪念が入ったり姿勢が崩れたり眠くなったりすると、警策(きょうさく、けいさく)といって、お寺さんに肩を叩かれたりします。
場所によっては、本格的な修行の場として、強めに叩かれたりするところもあるようですが、此処圓照寺では、ご住職の優しい愛の警策がいただけるようですから、ご年配の方も、女性の方も子供さんでもご安心を。
兎にも角にも、座禅は、精神統一、何かを考えるというより、あるがままの自分自身と向き合うことだそうです。それに座禅はとても姿勢が良くなるそうですよ!すっきりと爽快な気分で、活力が生まれる!心と身体で実感できそうですね。
ぜひ、みなさまも一度、座禅体験をしてみては?
さあ!みなさんお待ちかねのお食事の時間です!
お寺さんのおもてなし精進料理です。今回は、イタリア風精進料理が振る舞われました。
もちろん精進料理ですから、野菜、豆、木の実、穀類などを工夫して調理した料理です。
仏教では、殺生が禁じられているため、肉食はありません。
そのため、禅僧が食べる食事は、精進料理が基本になるそうです。美食を戒め、粗食であれという行の一つでもあります。
精進料理の精進は、ひたすらに仏道修行に努めることで、悟りを極めるための食事という意味もあります。
今回は、イタリア風にアレンジされた創作料理です。
このお料理を作ってくれた方は、
神戸は灘区で、お野菜ダイニング 『ONE PIECE ワンピース』のお店をされているシェフ溝尾さんです。
溝尾さんは、圓照寺の座禅会イベントのためだけに、“誰もが美味しく、健康で、そして見て楽しめる” をテーマに、精進料理のオリジナルメニューを考えてくれたそうです。
そしてメニューは?
☆【精進料理】
・ブロッコリーのアーリオ・オーリオ和え(ガーリックオイル和え)
・紫キャベツとリンゴのマリネ
・キノコのマリネ
・キャロットラペ(人参のマリネ)
・自家製豆乳マヨネーズを使った味噌ポテサラ
・大根とリンゴの八朔漬け
・赤ワイン漬けプチトマト
・キノコの洋風炊き込みごはん(パエリア風)
・お野菜のスープ
・桜の日本茶
☆【デザート】
・さつまいものパウンドケーキ
・カシス&ブルーベリーの紅茶
とても美味しそうでしょ!!
お持ち帰りも出来るように、わざわざお弁当風にアレンジされたそうですよ。
食事の後には、お茶やスイーツのおもてなしもあって
みんな大喜びでした。
もう、みなさん!
お腹もいっぱいになり、
座禅の修行のことなど忘れて、自分のお家のように寛ぎはじめました。
どうやら、まったりとした時間が過ぎているようです。
お寺の楽しみ方。これからのお寺とは。
お寺の中では、神聖な空間があり、そして神仏の世界に見られる神々しく光る人間には立ち入られない世界があるように感じます。
私達は、この空間に普段関わる機会はそう多くなく、ご葬儀や仏事ごとがある場合にのみお寺の存在を意識することがほとんどです。鎌倉時代から始まった檀家制度は、各家はそのお寺に所属し、そのお寺が菩提寺として、檀家のために法事や供養を行うとされてきました。
しかし、この時代も令和となり、今や凄まじいスピードで、新しいモノや人、今まで当たり前にあったものが急激に変化していっています。このお寺や檀家制度もその一つです。
現在では、少子高齢化の影響により、今の檀家の高齢化問題や核家族化で後継ぎがいないなど、家を継ぐこと自体が難しくなり、お墓を継ぐことやお寺の檀家を継ぐことも難しくなってきています。
ましてや、若い世代の子供たちが、お寺へ進んでやって来ることなどほとんど見かけなくなりました。
そういった問題に真摯に取り組むお寺が、全国的に増えています。
お寺の楽しみ方やお寺の利用方法を教えてくれ、仏教の教え、礼儀作法、法話やカウンセリングなどを行ったり、また、婚活やカフェ、終活セミナーなども人気で、その他にも、さまざまな工夫を凝らしたイベントや行事が行われています。
本来お寺とは、ただ単に仏事を行う場所としてだけでなく、昔から行・学・遊など、さまざまな場として活動されてきました。それが、現代になり、いつの間にかお寺は、仏事の時にだけ利用する場所といった印象が強いものになってしまったのです。
私は、現在のお寺は、コミュニティの場としてとても必要な場所だと思っています。ただ仏事ごとや先祖供養の場としてだけでなく、また、楽しいイベントの場所として楽しむことだけでもなく、『義』と『楽』のどちらも兼ね備えた人間に必要な修行の場所だと思っています。心に感謝と敬う気持ちを持ち、人と人のつながりを大事に、心から楽しむこと、どちらか一つだけでも駄目ですし、どちらか一つ欠けても駄目です。このバランスが、人にはとても大切なことだと思います。それが、神聖な場所であり、神仏の場所、『お寺』なのだと思います。
お寺の本堂をめずらしそうに見学している人達の姿は、とても楽しそうで、
本堂を走り回る子供達の姿は、まるで実家に帰ってきたかのように、本当に元気で楽しそうに遊んでいました。
最後に、ご住職さんのお話を聞くことができました。
第一声 無事終えることができました!
その言葉から始まり、
ホッとした表情で、
初めての試みでしたが、工夫と思考を凝らし、多くの方々のご協力と、ご支援により開催することが出来ました。
喜んでもらいたい一心でやりましたが、次回へ向けて少しハードルを上げ過ぎてしまいましたね。
でも、楽しんで、健康になって帰っていただけたら、それだけで充分です。
と笑顔で話してくれました。
今回の『涅槃会ZAZEN法要』を取材して、
お寺にある、『義』と『楽』の両方を兼ね備えた貴重な時間が共有できて本当に良かったと思います。
緊張という中に緩和があり、まさしくそれが笑いとなり、楽しさとなり、そしてコミュニティとなっていました。
この令和の新しい時代だからこそ、ネットや仮想の世界にはない、決して近未来的な創造空間でもありませんが、心と身体を動かして、泥臭くつながり合うことを真面目にやっていくことができる、お寺は、そんな場所だと思います。
それは、昔から人々が行ってきた当たり前のことですが、これからのお寺も、より新しいことを取り入れ、受け入れ、そして私達もお寺さんと共有し合い、ただただ人間臭く、この先の不安な時代を、上を向いて歩いて行くことが必要なのではないかと思っております。
この度は、
優しい時間をありがとうございました。
てらぼ情報(記事取材・撮影・編集)
おはか広場
◆宗教法人 圓照寺
住所:〒651-1354 兵庫県神戸市北区八多町2372
電話番号:078-952-1331
寺務所時間:8:00~19:00
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